佐賀市で足場工事を行っている秀建工業の田中です。
先日、面接を受けに来た方から「足場工事はどのような仕事ですか?」という質問を受けました。
日常生活をしていると、足場工事について知る機会はあまりないため、仕事のイメージが沸きにくいですよね。
そこで今回は、同じような疑問を持っている方のために「足場工事とは」や「足場の種類」、「工事の流れ」などについて解説していきます。
■『足場工事』とは?
足場工事とは、建築現場など高所で作業員が作業をする際に、足元を支える構造物を設置する工事のこと。
作業を安全かつスムーズに進めるために欠かせないもので、現場によって組立てる足場の種類は異なります。
そのため、作業員は現地調査をして現場にマッチした足場を組立てることが重要です。
また、足場からの「転落」や「墜落」などの労働災害を防ぐため、労働安全衛生法では足場の設置などに関する安全基準が定められています。
■「鳶職」と「足場職人」
あなたは「鳶(とび)職人」と「足場職人」の違いは何かわかりますか?
実は、足場職人は鳶職の一種。
鳶職は下記の種類に分類され、それぞれ作業する内容が異なります。
●鳶職
・足場鳶
・重量鳶
・鉄骨鳶
・橋梁鳶
・機会鳶
鳶職人は、工事現場で作業を始められるように工事現場の柵(仮囲い)を組んでいきます。
●足場職人
足場職人は鳶職の中のひとつであり、建設現場の足場の組立てや解体などを専門に行います。
住宅やビル、マンションなどの高所で作業をすることが大半です。
■仮囲い工事とは
仮囲い工事とは、工事現場や資材置き場などの周囲に一定期間「囲い」を設置する工事のことです。
工事現場への立ち入り禁止、粉塵の飛散防止、通行人の安全を確保、盗難防止などの目的があります。
仮囲いの種類はさまざまで、銅製板や合板などが存在します。
■足場の種類
では、足場の種類を詳しく見ていきましょう。
●単管足場
単管足場とは、単管(鉄パイプ)をクランプという金具でつなぎ合わせて組立てる足場のこと。
比較的構成する部材が少なく、柔軟に足場の形状を変えることができる点が特徴です。
主に、低層の建物や建物同士の間が狭い現場で使用されます。
反対に、高層の建物などには不向きの足場です。
▼主な部材
・単管
・クランプ
・足場板
・固定型ベース
・ジョイント
・単管ブラケット
●くさび緊結式足場
くさび緊結式足場とは、一定間隔に緊結部を備えた銅管を支柱にして、支柱に手すりや筋交などをハンマーで打ち込んで組立てる足場のこと。
ハンマー1本で組立てることが可能で、組立てと解体が簡単な点が特徴です。
そのため、短期間で設置することができます。
低層の建物から中層の建物まで、幅広い現場で用いられます。
▼主な部材
・ジャッキ
・支柱
・踏板
・筋交
・ブラケット
・手すり
・壁当てジャッキ
・銅製階段
●枠組み足場
枠組み足場は、さまざまな現場で設置されており最もポピュラーな足場です。
部材の強度が高く、耐久性に優れています。
そのため、地上から45m以上の高層の建物などに用いられます。
くさび足場と違い、作業時にハンマーを使用しないため騒音が少ない点が特徴です。
▼主な部材
・建枠
・ジャッキ
・筋交
・布板
・手すり
・アームロック
・壁つなぎ
・ジョイント
●吊り足場
吊り足場は、橋梁(きょうりょう)の工事などの地上から足場を組立てることができない現場で使用されます。
上から作業板を吊り下げて足場をつくるため、準備作業や点検などを慎重に行い安全性に注意する必要があります。
▼主な部材
・吊りチェーン
・クランプ
・作業板
●移動式足場(ローリングタワー)
移動式足場は、ローリングタワーとも呼ばれ「移動させる」ことが可能な足場のこと。
脚輪や昇降できる階段がついていて、工事の途中で足場を移動させる必要がある現場で活躍します。
再び足場を組立てる手間がかからないため、時間や人件費のコストを削減できます。
人を載せたまま移動させることはできず、作業時には脚輪のブレーキをかけて、きちんと固定することが大切です。
▼主な部材
・はしご型建枠
・筋交
・手すり枠
・銅製布板
・キャスター
■足場工事の流れ
足場工事の流れを見ていきましょう。
●現地調査
●部材の運搬
●足場の組立て
●足場の解体、作業終了
■足場工事の資格
足場の組立てや解体、変更の作業をする従事者は「足場特別教育」の講習を受けなければいけません。
また、組立てる足場の条件によって「足場の組立て等作業主任者」の資格を持つ人間が労働災害を防止するため指揮を取る必要があります。
●足場の組立て等作業主任者
「足場の組立て等作業主任者」は、高さが5m以上ある足場の組立てや吊り足場、張り出し足場の「組立て」「解体」「変更」の作業をする際に作業者を指揮する資格です。
現場での労働災害防止のため、安全面などを監督します。
受講資格として、3年以上の実務経験が必要になります。
そのため、足場職人として働きながらキャリアアップを目指している人におすすめの資格です。
■まとめ
いかがでしたでしょうか?
足場には、意外にも多くの種類があることがわかっていただけたでしょうか。
今回の記事で、あなたの疑問が解決し今後の人生の役に立ちましたら幸いです。